時価会計の導入


超図解ビジネス 2001年からの会計入門 (超図解ビジネス会計シリーズ)
超図解ビジネス 2001年からの会計入門 (超図解ビジネス会計シリーズ)
 取得原価主義の問題点はどこにあるのでしょうか。会社の資産に含み益があること自体は、悪いことではありません。問題は、会社の含み益が財務諸表に反映されておらず、決算書からは、会社の財政状態が正確に読み取れないことです。p.184

 新会計以前に採用されていた取得原価主義は、取得時の財産評価を資産として計上しており現状の時価を計上するわけではありませんでした。景気が上向いているころは取得原価主義は含み益をもたらし、非常に重宝がられました。しかし景気下降局面に入ると、含み益は含み損へと変化して行きました

 不景気で赤字決算を避けるため、企業は含み益のある資産は売却による利益を計上し見かけ上は黒字の決算書を作成しました。このようにして含み益資産は吐き出されるものの、含み損資産は売却されませんでした。結果資産の含み損失は次第に膨らんで行き、不良債権へと拡大して行き問題となりました

 こうした事態の中、決算書が会社の実態を反映しなくなったため、財務諸表を実態に即するよう導入した時価会計です。時価会計は有価証券・不動産・ゴルフ会員権などを時価に応じて計算し直し、資産計上する会計方法です。導入により、財務諸表は現状の企業の実態を表すようになりましたが、逆に銀行などは多くの不良債権を処理しなければいけなくなりました。各企業はお互いで持ち合っていた株式(株式持合い)を解消する方向に走り始めました。これは、各企業が他社の含み損を含む株式を持っていると、逆に決算状態が悪くなるためです。その結果自然と安定株主が減少していくこととなっていきました。安定株主の減少は、結果的に投機目的の株主を増やすことに拍車をかけました。そして、最終的に今回のライブドア騒動に見られるような企業買収・M&Aが加速することになりました。

下に不良債権を償却する方法のページを見つけましたので紹介します。
不良債権の償却方法(直接償却と間接償却)

ここでワンポイント豆知識

買収に対する防衛策

新株予約権を(信託銀行が)預かり、買収を仕掛けられた時に発動する仕組みも考えられる」と会見で述べ、信託を活用した新たな買収防衛策に言及した。このポイズンピル信託」は、みずほ信託銀行が商品化をめざしている。
http://www.asahi.com/business/topics/TKY200503180104.html

あなたは時価会計が引き起こした問題点を知っていますか?