持ち株会社と事業再編


超図解ビジネス 2001年からの会計入門 (超図解ビジネス会計シリーズ)
超図解ビジネス 2001年からの会計入門 (超図解ビジネス会計シリーズ)
 戦後50年を経て、1997年11月の独占禁止法改正で認められるようになったのは、「純粋持ち株会社」による経営はさまざまな長所を有しており、企業の活力を取り戻す手段と考えられたからです。p.134

純粋持株会社が認められる以前は、多くの大企業では事業部制」・「カンパニー制と呼ばれる組織が採用されていました。しかし事業部制」・「カンパニー制」には以下デメリットが存在していました。

デメリット

  1. 事業部ごとに売上、利益のみ把握
  2. 事業部の権限には一定の制約
  3. 従業員の処遇に差がつけにくい
  1. 損益だけでなく資産・負債も把握可能(事業部制より優れてる)
  2. 従業員の処遇に差がつけにくい

事業部制カンパニー制より独立性を有していたがそれでも一つの企業体としての意識が強く、各部門ごとの依存性が残っていました。依存関係はやがて社員の気力低下につながり、対極的な意味では生産性低下を招きました。そこで、各部門を完全に分社化しグループの経営方針のみを持株会社に残し、残りの部門は分社化し子会社とすることで依存関係を弱めグループ内シナジーを高めようということのようです。子会社化することで、買収や売却が容易になり、事業責任が明確になったりと経営陣にとっては非常にありがたい限りのようです。

しかし、持株会社移行はメリットだけでなく、以下のデメリットもあるようです。

デメリット

  1. 子会社の独立志向・離反
  2. 税負担の増加

特に日本ではまだ「連結納税」が実施されていないようなので、子会社の赤字を親会社の黒字と損益通算できず、税納税額が増加してしまうこともあるそうです。(不思議ですね。連結決算をすれば利益分については増税されるのに、赤字部分については通算できないとは・・・)

今回は純粋持株会社に注目しましたが、この他にも株式交換と株式移転を応用すると他社の企業買収にも大きな道が開いたことになります。

それが先日話をした外国株式対価の合併やライブドアなどの企業買収劇になります。その詳細についてはまた明日お伝えいたします。

あなたは純粋持株会社のメリットとデメリットを知っていますか?